2010年2月16日

「生きがい」が持てる福祉政策への転換 ―憲法第13条(幸福追求権)の具現化―

Filed under: 岡田登史彦の思い・感想 — admin @ 2:09 PM

バブル経済が崩壊し、さらにリーマンショックで大きなダメージを受けた日本国民の困惑は、国民の平均的な生活水準が向上する中で、国民の個性化・個別化が進展し、社会から取り残され「自死」を選ぶ国民や、介護地獄から抜け出せないでいる家族、貧困に苦悩する国民等が増加するなどの形で現れ、新たな社会問題が発生している。

戦後のわが国は、憲法第25条で、戦争に疲弊した国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を約束し、生活保護法といった福祉三法を成立させた。これは、国家が国民を階級社会に存在する階級からの抑圧を解放する「救済」の意味合いとして、平準化と均一化をめざしたものであったが、国民にとっては少なくとも最低限度の生活の安定は確保された。

「福祉」は、本来国民を幸福にすることを目的とするが、現在の新たな社会問題の解決には、戦後以来の階級闘争的解決を主たる基盤とする現在の福祉政策では充分には機能しないと思われる。

現在の問題解決には、現代社会に相応しい生きるための「生きがい」とも言える価値観やその具体的な対象(たとえば働く場所・趣味の場所等)を、国民に与える先駆的な新たな発想の福祉政策が必要である。つまり、憲法第13条が認める「幸福追求権」の具現化が求められている。