2010年4月28日

国民の政治的成長の必要性

Filed under: 岡田登史彦の思い・感想 — admin @ 2:08 PM

ここ数年来の国民の国政に対する期待感や不満感が錯綜する中、昨年9月に民主党を中心とする連立内閣が誕生したが、今だ、明確な「わが国の将来像」が国民に示されていない。
つまり、この状況は、軍事用語の「戦略」「戦術」「戦闘」という概念規定で仕分けすると、大局を示す「戦略」部分が明確でなく、むしろ中・下位の「戦術」「戦闘」に分類される政策や施策がほとんどであると言っていい。

プロセインの将軍カール・フォン・クラウゼヴィッツは、彼の著書「戦争論」の中で「戦争とは政治的行為の連続体であり、この政治との関係によって戦争は、その大きさや激しさが左右される」とした上で、「『戦略』そのものが間違っていれば、下位の『戦術』『戦闘』がどれほど成功したとしても、勝利には結び付かない」としている。

このことは、平時のわが国にあっても「戦略」としての明確な国家の将来像がなければ、国家間での国際競争を勝ち抜くことは非常に厳しい情勢にあるといえる。
また、政治家に対する不信は、ますます国民を政治から遠ざけているが、かって「金を儲けるのが何が悪い」といって憚らなかった経済人たちが、国民の意識変化により糾弾されたのと同様に、国民自らが政治的に成長することにより、現在の古い体質の政治を変え、「国民が望む国家を創生しよう」としない限り、日本の将来はないと言える。