2008年1月14日

積極的な外国人の京都市への移住勧誘の必要性について

Filed under: 岡田登史彦の政策提言の背景・考え — admin @ 2:25 AM

―― 政令指定都市における外国人登録者数から見た政策提案について ――

1.現状分析
 国籍別外国人登録者数とその日本人対比の比率を示したものが表1です。この表から京都市は日本人対比の比率では15政令指定都市中4位の2.89%と外国人登録を実施している人が多い都市です。しかし、その外国人登録者の多くは、表2からも判るように韓国又は朝鮮の国籍の人が66.7%と圧倒的に高い比率を示しており、第2位の中国国籍の人が19.2%であることを考慮すると、それ以外の国の人はわずか14.1%になってしまっているのが現状です。つまりいろいろな国からの人が外国人登録している姿をインターナショナルな街、国際的な街とするなら、そうではない姿をこの外国人登録実績は示しています。

 なお、図1から韓国又は朝鮮の国籍の人は、母国との位置的な関係がからなのか、西日本の京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市の各市が非常に高い比率を示しています。これは朝鮮半島から多くの知識・文化を長年にわたって吸収してきた歴史的経緯もあるので当然の結果ではないかと思われます。
それに対して、中国国籍の人は、福岡市を除けは、総じて首都圏と関東以北に比率的に多く居住している状況が判ります。

2.今後の京都市のあるべき姿
 京都市は、世界の歴史都市であるローマ・ロンドン・パリ・エルサレム等と同様に、日本の国民のみならず世界の市民に開放された世界都市でありたいと思っています。それがためには100年200年の単位で世界歴史遺産都市であり続けるための壮大なビジョンを持ち続ける必要があります。そしてそのビジョンを作成するに際しては、日々生活する京都市民の考えは配慮すべきもっとも重要な位置にありますが、これからは世界の市民がどのように考え行動しようとしているかを推し量りながら、彼らとの協働ないし一体化することも必要になると思います。
その協働ないし一体化に際して、現在京都市に住んでいる外国人との協働や一体化が大変重要ではないかと考えています。

3.外国人移住の意義
 現在の京都市の財政は非常に厳しい状況にあります。京都市がこれから実施してゆくいろいろな施策も京都経済の好況・不況に大きく左右されてきます。そのような状況を可能な限り回避するには、外国資本を広域交通網の建設整備等に京都地域に導入することが必要と思われます。
幸い、今後ますます産油国をはじめとした多くの国々が、わが国よりも金融的に豊かになってくると思われます。そしてこれらの国々は優良な投資先を求めるようになるでしょう。
これらの国々のためにも積極的に京都市への投資を勧誘する必要があります。外国人の目で見て住んでみたくなるような京都市になれば、資金を京都市の発展のために投資しようと考えてもおかしくはありません。そのような状況を創り出すためにも、その勧誘の背景整備として、外国人にとって都合の良い住宅政策や子女の教育政策の提案が必要となってくると思います。これが回りまわって必ず京都市民にもプラスになる施策であると確信しています。

4.世界都市としての京都市であるために施策
 多くの外交官やビジネスマンにとって家族が大切であることには日本人とその価値観で大差はありません。その家族を大切にしたいと思う考えの中に子女の教育問題があります。わたしも住友銀行時代サンフランシスコ、ロンドン、ニューヨークと海外派遣職員として赴任してきましたが、このときは幸い当初は子供が小学校に入学前であったこともありそれほど大きな問題ではありませんでした。しかし任期が長くなると後半教育問題がわが家でも大きな問題となりました。 その問題を解消する最高の解決策が現地でも日本語学校への入学でした。
 
同様の問題が、ここ日本でも外国人の家庭で発生していると思います。いかに素晴らしい日本における母国語を教えるいわゆる現地校があるか、ここではアメリカンスクールであったり韓国学校であったり、イスラム学校が、日本に赴任してきた外国人の関心ではないかと思います。
もっと多くの国からの外国人を招き、居住していただく方策を考える場合、まず第1番目は外国人の子女がわれわれの市立小学校・中学校へ通学できるようにより一層の受け入れ態勢の充実が必要ではないかと思われます。そしてその上で第2番目として積極的なインターナショナルスクールの誘致が必要と思います。誘致に対して、企業誘致と同様になにがしかの補助があっていいと思います。

5.結論
 京都市に外国人が住んでいただくことが今後の京都市の大きな発展の基礎になると思えてなりません。そのためには積極的な外国人の京都市への勧誘が必要です。また逆に世界に開かれた京都市を創設してゆくには外国人に居住地として開放してゆくことが欠くべからざる施策であると確信します。この開放策は必ず外国人観光客の増加策に繋がってくるものと思います。

表1:各都市の日本人人口ならびに外国人登録者数とその比率
(平成17年12月末現在)

平成17年
12月末
日本人
人口(人)
外国人登録
者数総数(人)
 
比率
順位
日本人対比
比率(%)
韓国又は
朝鮮
中 国 その他
札幌市 1,882,424 8,619 15 0.46 2,647 2,916 3,056
仙台市 1,025,854 10,257 14 1.00 3,007 4,180 3,070
さいたま市 1,177,457 15,462 11 1.31 3,671 6,000 5,791
千葉市 925,319 18,846 7 2.04 4,538 7,506 6,802
東京都区部 8,499,697 302,086 2 3.55 90,007 103,455 108,624
川崎市 1,329,372 27,619 6 2.08 9,144 7,188 11,287
横浜市 3,583,367 69,563 8 1.94 15,851 24,101 29,611
静岡市 701,218 8,189 12 1.17 1,887 1,708 4,594
名古屋市 2,216,889 59,846 5 2.70 21,691 16,215 21,940
京都市 1,474,938 42,618 4 2.89 28,426 8,175 6,017
大阪市 2,630,151 122,753 1 4.67 88,528 21,876 12,349
神戸市 1,526,685 44,650 3 2.92 23,165 12,482 9,003
広島市 1,155,372 16,051 10 1.39 7,274 4,054 4,723
北九州市 993,623 11,367 13 1.14 6,989 2,745 1,633
福岡市 1,404,074 19,878 9 1.42 6,495 8,900 4,483
合計 30,526,440 777,804   2.55 313,320 231,501 232,983
比率(%)   100.0     40.3 29.8 30.0

表2:日本人対比国別外国人登録者数比率(平成17年12月末現在)

単位:% 韓国又は
朝鮮
中 国 フィリピン アジア
その他
アメリカ 欧 州 アフリカ
アセアニア
無国籍
札幌市 30.7 33.8 3.3 8.9 10.1 8.4 4.5
仙台市 29.3 40.8 4.0 10.9 6.9 5.3 2.9
さいたま市 23.7 38.8 11.7 11.9 8.0 3.5 2.3
千葉市 24.1 39.8 13.1 10.2 8.3 2.9 1.6
東京都区部 29.8 34.2 7.9 10.4 7.9 7.1 2.4
川崎市 33.1 26.0 12.4 11.1 11.8 3.4 1.9
横浜市 22.8 34.6 9.9 11.0 14.5 5.5 1.8
静岡市 23.0 20.9 16.2 11.8 23.9 2.9 1.2
名古屋市 36.2 27.1 10.5 6.8 14.7 2.7 1.7
京都市 66.7 19.2 2.2 3.2 4.2 3.5 1.3
大阪市 72.1 17.8 2.0 2.4 3.4 1.4 0.9
神戸市 51.9 51.9 1.8 7.8 6.0 3.3 1.3
広島市 45.3 25.3 10.8 3.2 10.2 3.6 1.3
北九州市 61.5 24.1 4.1 3.6 3.2 2.4 1.1
福岡市 32.7 44.8 4.6 6.4 5.2 4.2 2.1
平均比率 38.9 30.3 7.6 8.0 9.2 4.0 1.9

図1:政令指定都市国籍別外国人登録者数比率(表1の図式化したもの)

(図から判ること):韓国又は朝鮮の方々は西日本に、中国の方々は総じて関東以北の都市に偏在して住んでおられることが、この図から明らかになっています。

[出典]
人口ならびに国籍別外国人登録者数は横浜市大都市比較統計年表(平成17年)より筆者が編集作成。
http://www.city.yokohama.jp/me/stat/daitoshi/new/index.html#II


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