質問1.京都ブランドについて
『京都ブランド』=とは「京都人が1000年の歴史の中で培ってきた『雅』や『粋』、『わび』、『さび』といった日本人が愛してやまない本物の日本の伝統・文化・技術を一つの『商品』や『概念』、『意匠』等に吹き込んだものをいう」と定義したいと思います。
この意味での『京都ブランド』とは、単に京都産もしくは、京都プロデュースされたのものという単純なものを指すのではなく、京都で培われた文化・伝統から産出される有形・無形の生命体としての財産であると考えます。それゆえに、その生命体である『京都ブランド』は、京都の文化・伝統の歴史を継承しつつ、進化しつづけるものであります。
そのような見地に立ち、京都市民とともに『京都ブランド』を育てて参りたいと思います。これはとりも直さず、まさに日々生活する京都市民の息吹きこそが大切であり、また『京都ブランド』を育てる滋養の源泉となるものであると確信しております。それだけに、お客様に対するなお一層のもてなしや、失われつつある倫理観や人間感・道徳観といったものを京都市が率先垂範して行ければと思っています。
是非とも、京都青年会議所の皆様方との協働を御願い申し上げたいと存じます。
質問2.自然環境保全
COP3の開催地であり、わが京都の名を冠された『京都議定書』は、京都から世界に発信されたすばらしい環境宣言であると捉えております。しかし、その発信基地である京都市の環境対策は遅々として前進していません。その責任は、京都市の市政に原因の端緒があると思います。貴重な税金を環境対策に有効に使う経済的政治力が欠如していると思いますし、断固たる決意で臨む姿勢が欠けているのではないでしょうか。ただ、この断固たる姿勢をとりえない理由の一つに、この環境問題のコインの裏表のような存在で同和問題があるのではと思っています。
この同和問題を人権差別問題と、利権問題に切り離して考えれば、京都における環境問題の大きな部分は解消してゆくのではないかと思います。
世界遺産を預かる京都としては、何としてもこの環境問題を積極的に取り組み、世界をリードできるようになりたいものです。前項の京都ブランドでも触れましたが、1000年の都を支えてきた京都の伝統・文化にこそ、環境問題を解決するノウハウが埋もれていると思います。いまこそ、京都市政を改革しその政治力により、産官学と市民が共同して、環境問題に真剣に取り組んでまいりたいと存じます。
質問3.産業振興策
(1)中小企業振興策
ここ7~8年で多くの中小企業が休業・廃業・倒産に追い込まれています。これ以上の休業・廃業・倒産とならないように、私は、緊急経済対策として100億円のうち20億円を事業転換のためや、新規事業進出のため、また他の企業との吸収合併の資金として用意し、少しでも、企業の発展のお手伝いができればと思っています。
(2)中小商店街振興策
多くの商店街でシャッターを閉めたお店を見かけます。一つの商店街で、このようなお店が出てくると一気にその商店街に魅力はなくなってゆき、それにつれてもっと客足が遠のきます。この悪循環を断ち切るため緊急経済対策100億円のうち30億円を投入して、商店街の活性化に協力しようと思っています。政府も中小商店の活力アップに補助金をつけようとしています。そのためうまく政府とタイアップできれば30億円以上の支援もできるというものです。
(3)金融特別融資枠1000億円の設定。
不動産価格が下落したため担保余力のない企業や、新規のビジネスを考えているがどうしても最初の事業資金が十分でないといった金融的にお困りの方々に信用保証の融資枠1000億円を設定するものです。
質問4:自然環境保全と経済発展バランス
自然環境保全と経済発展が相反するとすれば、それは自然環境保全の価値観が欠落していたからの他なりません。たとえ一人ひとりが自然を守ろうとしても、簡単に出来るものではありません。一人ひとりの不注意や怠慢が他の人に伝播し価値観が崩れてゆくものだと思います。そこに所属するすべての人に責任があります。その責任意識を高め行動を示すには、誰かがその行動をリードするべきと思います。
今のような変動の激しい時代には、京都市民の皆様に行政サービスを提供する市役所が自然環境保全を率先垂範していかねばならないのではと思っています。保全することが難しいからこそ必死に守る姿勢が必要だということを、声高に伝えるべきなのでしょうか。
同様なことは経済発展についても言えるのではないかと思います。アダム・スミスの「見えざる神の手」が届かない領域も、これだけグローバリゼーションと経済要因が多様化してきた時代には出てきます。そして大きな流れに翻弄され経済発展に乗り遅れる中小企業・商店が現れます。
ともに捉えどころのないものですが、これらのバランスを維持する観点から社会における行政の役割は今まで以上に増加してきたと思っています
質問5.景観条例
もともと京都市は、自主財源比率が52.1%と15政令指定都市中14位と低く、安定的な都市経営を目指すためには、自主財源の中に占める割合が大きい固定資産税の増収を図る施策が必要であります。つまり土地の時価が高くなる政策が求められています。
ところが、景観条例制定後は、土地の時価が下落傾向となり、不動産の売買が非常に不調な状況が続いています。昨年の11月・12月の売買事例で見ると、この半年間で規制前からすると25~30%程度の時価が下落した格好とな
っています。
固定資産税から逆算した京都市内の土地時価総額は10~12兆円程度と思われますが、この結果から推測すれば下落した時価総額は2~3兆円にも上ると思われます。固定資産税に換算すれば、150~200億円程度減収となり、これが10年も続ければその減収額は莫大な金額となります。つまり京都市の発展に大変大きなダメージとなることは間違いがありません。
拙速で制定したこの景観条例は、桝本市政の中でも特筆すべき失政で市民や投資家の信頼を失わせ、また個人の所有権を侵害した「ファッショ的悪法」といえます。
早急に市民や地域の自治会・関係団体の意見を十分くみ上げ全面的に見直しを実施する必要があります。
質問6.渋滞解消と歩行者の安全
渋滞解消のために、市内に滞留している車を可能な限り早く市街から郊外に出すためには、高速道路の建設は有効かもしれません。しかし、平成8年度から平成16年度までで京都市内の就業者が13万人も減少するという京都経済の厳しい状況を考えると、高速道路の建設そのものには賛成ですが、現在の京都市の財政状況の下ではその投資額が巨額であるため、しばらく見送らざるを得ないというのが私の判断です。
歩行者の安全については、可能な限り歩道の整備・実施することですが、狭い道路に十分な歩道を確保することは、車道を狭めることともなり、これはまた渋滞の遠因となります。
それが故に如何に車の市内への流入を阻止するかが、渋滞を引き起こさないための策と思います。そのためには、私は、地下鉄のさらなる延伸を提案しています。いわゆる天神川駅から西・南方向へ、六地蔵駅から南・西方面に伸ばし大循環公共交通網の整備・完成と竹田駅からの南伸が必要と思います。輸送方法は地下鉄だと莫大な投資額になると思われますため、LRTかモノレールでの建設を考えています。
有効な広域交通網が完成すれば、市内への車の乗り入れも抑えられるものと思われます
質問7.少子高齢化・福祉
(1)特別養護老人ホームの増設
要介護4・5の人たちの入所待機の状況を解消したいことです。これは介護する人も介護される人も、ともに人間らしい生活をしていただきたいからであります。最近、耳にする介護疲れによる不幸な出来事はもうこれ以上発生してはならないと思います。
そして、介護する人が介護することから解放され仕事に復帰することが出来たり、自由な人間らしい生活を享受していただいたいと思います。
(2)児童手当の中学3年生までの月額一万円の支給
京都市の義務教育のレベルが低く、普通に高校・大学に進学を希望し、より良い学校を求めようとするとき、現在の教育環境では「塾」に通わざるを得なくなります。それでなくても物入りのこの年齢層を持つ家庭に、十分ではないですが、京都市として支援したいと思うからです。
(3)学童保育の充実
家計を維持するためには、夫婦がともに仕事に出かけざるをえない家庭が増えています。真っ暗な誰もいない家に帰るよりは少しでも温かみのある施設で、ご両親の帰りを待っていただく方が、本人はもとより、ご両親も安心であると思えるからです。少なくとも入所待機する学童がいなくなるようにしたいものです。
質問8.教育問題
格差社会の進行とともにあらゆる分野において二極化が急速に進行しております。その中で、私は、教育の二極化だけは決して認めるわけにはいきません。京都市において、一部の公立校において中高一貫校を設置し、教育再生とうたっています。しかし、これは大きな義務教育における機会均等という点からすれば納得のいかないものです。
偏差値教育により、学力の高いとされる学校に多くの補助金を投じるといった政策や、市長の出身校に大きな予算を投じ、過大な施設整備を行うという実態は、個人の利益誘導に近いものを感じます。
私は、未来を担うべき子どもの可能性は無限であり、社会全体で大切に育てていかなければならないと思います。少なくとも公立校においては、教育の機会均等は勿論のこと、こころの教育や情操教育を重視し、真に『生きる力』を身につけていただきたいと思います。
具体的には、京都には、世界に誇る各界の著名な人的資産を有しております。この人たちに、積極的に教育にかかわっていただける教育システムを構築したいと願っています。この京都の人的資産を活用した教育システムの構築こそが、未来の京都を作る唯一の方法であると信じております。
質問9.財政状況
京都市の財政状況を判断するに際して、他の政令指定都市との普通会計・連結会計における正味資産比率で比較で判断すると、以下となる。
(1)普通会計(=一般企業会計における自己資本比率)
最新の平成18年度決算額数値では京都市の普通会計における正味資産比率は51.4%と15政令指定都市中14位。ちなみに大阪市は7位、神戸市は3位である。
(2)連結会計
同じく京都市の連結会計における正味資産比率は39.8%と15政令指定都市中14位。ちなみに大阪市は10位、神戸市は4位である。
以上から京都市の財政状況は他都市と比べても非常に悪い。最低レベルであり財政再建が急がれる。
行政は日々の市民サービスは怠ることはできないため、日々のサービスを提供していく中から財政再建を進めていかねばならず、秘策や奇策があるわけではない。しかしながら、ともすれば事なかれ主義的になり適正な採算や効率を忘れたサービス提供がなされている可能性もあり、これを民間企業の経営改善の視点から改革を進めたい。なかでも、事業そのものの是非、補助金あり方の見直し、同和利権の根絶を図りたい。また「公の施設」の指定管理者の見直しといったものにも厳しい姿勢で踏み込みたい。
質問10「地域コミュニティーの活性化「地域コミュニティーの活性化
ご指摘の通り街の総合価値向上には「地域コミュニティーの活性化」が不可欠であり、また少子高齢社会においては安心・安全な街づくりのためにも「地域コミュニティーの活性化」が最低の条件でもあります。
また、今後行政からの補助金が減額される可能性もあり、今まで以上に地域力の創出や、家庭力の創出、または、生きる力の創出が求められます。そして、さらなる地域内での意見の集約や合意形成が必要となると思われます。その上で、地域コミュニティーに幅広いボランティア活動が求められてくるのでしょう。しかし、それぞれの地域には、多様な価値や哲学・倫理感を持った人々が住まいするため、一つに取り纏めるには大きな力やリーダーシップが必要となります。
このような地域の取りまとめの総合的な集約作業が、市長そのもの役割であると認識しています。つまりもっとも高いレベルでの市長の人間的魅力であったり、時代に即した都市経営哲学を保持すべきであると理解しています。逆に、従来の延長上ではない新しい価値や哲学を保持した人間的なリーダーシップを持つ人が行政の長としての市長に就任すべきである理解しております。
以上