2009年10月5日

約束履行の重み

Filed under: 岡田登史彦の思い・感想 — admin @ 11:06 AM

私は30代後半、ロンドンのシティー(金融街)で働いていました。その時、債権売買や資金取引は、電話での口約束だけで行っていました。この口約束は、ロンドン証券取引所1801年以来の格言にもなっていて、その格言は「私の言葉は、私の信用(MY WORD IS MY BOND.)」というものです。この格言が、現在の今にも受け継がれている理由は、お互いが約束した取引は、すべて約束通りに実行され、万一、約束が間違っていたなら、売り買いを逆にして問題解決を図っていたからだと思われます。つまり当事者にとっては、約束したことは必ず履行されるという「信頼と安心感」があったからでしょう。

太宰治は「走れメロス」の中で、メロスが、親友との約束を履行することは、命を懸けるに値するもので、人間にとって何にも代えがたい大切な一種の「信頼の証」でもあると伝えています。

さて、わが国では民主党政権が誕生しましたが、この新しい政権へのお願いは、「無駄の排除」より、たとえ不条理な約束といえども「約束を履行する」ことの方が、高い次元での社会規範であることを、肝に銘じて、政権の運営に励んでいただきたいことです。政府の約束不履行は、自由主義体制を崩壊させ、政府の独裁体制の形成につながり、これは結果として国民の政府に対する不信感を醸成することを危惧するからです。

以上


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